あるある文化財VOL.209 白石新四国八十八ヶ所(8)(第19番~第21番)
所在地の後に四国八十八ヶ所(しこくはちじゅうはちかしょ)札所の寺院名と本尊を( )内に併記します。銘文の旧漢字は世話人名以外を常用漢字に直し、竿石に向かって正面を(正)、右側面を(右)、左側面を(左)と表記します。なお、四国の旧国名の阿波国(あわのくに)(徳島県)は「阿州(あしゅう)」と記されています。
第19番 遠ノ江上(とおのえかみ)・天徳(てんとく)院跡の祠(立江(たつえ)寺‐延命地蔵菩薩(えんめいじぞうぼさつ))
両手で宝珠(ほうじゅ)を乗せ、基礎は失われています。遠ノ江(とおのえ)村の2人が第18・19番の世話人になっています。
延命地蔵菩薩は、10の福徳(ふくとく)(安産・健康や長寿等)を与える仏とされています。
明治十五午年
(右) 大世話人
大戸村喜多和十
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第十九番
(正) 本尊地蔵菩薩
阿州
立江寺
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遠ノ江村中
溝口林藏
(左)世話人
江口権兵エ
第20番 太原上(たいばるかみ)・世尊(せそん)院の祠(鶴林(かくりん)寺‐地蔵大菩薩)
両手で宝珠を乗せます。舟形光背(ふながたこうはい)先端が欠損し、基礎は失われています。世話人を「世主(せしゅ)(施主)」と刻み、年代表示に「年」字がありません。
祠内中央に、森熊市と山口国五郎が「世主」となった、右手で三鈷杵(さんこしょ)を、左手で数珠を握る「弘法大師(こうぼうだいし)」坐像(ざぞう)が安置されてあり、基礎正面には女性16人の名前のみが刻まれています。年代は刻まれていませんが、本尊と同時期の造立でしょうか。
明治十五午
(右) 大世話人
大戸村喜多和十
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第二十番
(正) 本尊地蔵菩薩
阿州
鶴林寺
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上太原村中
森熊市
(左)世主
山口國五良
第21番 太原上・藤井整形外科病院北の祠(太龍(たいりゅう)寺‐虚空蔵(こくうぞう)菩薩)
右手で知恵の剣を握り、左手に宝珠を乗せます。舟形光背先端が欠損しています。竿石と坐像との間の敷茄子(しきなす)(花と茎の付け根を表したもの)は別のものの転用で、基礎は失われています。□内の文字は風化して読めません。
上太原(かみたいばる)村の2人が第20・21番の世話人になっています。
第21番にも第20番と同様に、森熊市と山口国五郎が「世主」となった、右手で三鈷杵を、左手で数珠を握る「弘法大師」坐像が安置されています。本尊と同様に、敷茄子は別のものの転用で、顔面と両膝頭が風化しています。基礎正面には第20番とは別の女性16人の名前のみが刻まれています。年代は刻まれていませんが、第20番と同様に本尊と同時期の造立でしょうか。
<参考文献>
・HP(一社)四国八十八ヶ所霊場会
・中村 元他編『岩波 仏教辞典』岩波書店 平成元年
・新四国八十八ヶ所研究会編『白石新四国設置由来 八十八ヶ所所在地及び本尊』平成23年
・『白石新四国八十八ヶ所巡り ポンコツ女子珍道中2020』令和2年
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