あるある文化財VOL.206 白石新四国八十八ヶ所(5)(第10番~第12番)
所在地の後に四国八十八ヶ所(しこくはちじゅうはちかしょ)札所の寺院名と本尊を()内に併記します。銘文の旧漢字は世話人名以外を常用漢字に直し、竿石に向かって正面を(正)、右側面を(右)、左側面を(左)と表記します。なお、四国の旧国名の阿波国(あわのくに)(徳島県)は「阿州(あしゅう)」と記されています。
第10番 南区・潮塞観音(しおどめかんのん)堂(切幡(きりはた)寺‐千手観音菩薩(せんじゅかんのんぼさつ))
6本の腕6臂(ろっぴ)があり、上段右手の持物(じもつ)は不明で左手は未開蓮(みかいれん)でしょうか、中段両手は胸前で合掌し、下段右手で数珠(じゅず)を握り左手に宝珠(ほうじゅ)?を乗せています。舟形光背(ふながたこうはい)・方形台座が大きく欠損しています。
竿石はなく基礎に銘文を記します。正面と右側面の□部分はほとんど読めませんが、右側面の世話人等は第9番から復元しました。正面の「手観音」字は刻み直され、「千手観音」字を赤く塗っています。福富中移の3人が第9・10番の世話人になっています。
第10番本尊は、明治30年(1897)頃に中区・大弘(だいこう)寺から現在地南東の観音搦(がらみ)に祀られたとされており、大正3年(1914)8月25日の高潮による五千間土居(ごせんげんどい)(国道444号線)決壊の危機を、流れ着いた千手観音が千本の手で塞(ふさ)いでくれた、として「潮塞観音」と呼ばれています。
第11番 上(かみ)区・福富園芸北西祠(藤井(ふじい)寺-薬師如来(やくしにょらい
明治十五午年
(右)大世話人
大戸村喜多和十
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第十一番
(正)本尊薬師如来
阿州
藤井寺
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福富上村中
森口卯兵ヱ
(左)世話人江口順藏
江口久米三
両手で円形薬壺(やくこ)を乗せます。方形台座の側面が欠損し、竿石は坐像前面に置かれています。
第12番 上(かみ)区・福富園芸北西祠(藤井(ふじい)寺-薬師如来(やくしにょらい))
明治十五午年
(右) 大世話人
大戸村喜多和十
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第十二番
(正)本尊虚空蔵尊
阿州
焼山寺
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福富上村中
森口卯兵ヱ
(左)世話人江口順藏
江口久米三
右手で知恵の剣を握り、左手に宝珠を乗せます。方形台座で、基礎は祠内右端の観世音菩薩坐像(ざぞう)の基礎に転用されています。
福富上村の3人が第11・12番の世話人になっています。
<参考文献>
HP(一社)四国八十八ヶ所霊場会
新四国八十八ヶ所研究会編『白石新四国設置由来 八十八ヶ所所在地及び本尊』平成23年
『白石新四国八十八ヶ所巡り ポンコツ女子珍道中2020』令和2年
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