令和4年度作品紹介
テーマ「愛」
【歌垣賞】
水加減塩加減まで聞いてくる臥せる私の粥を炊く夫
熊本 芳郎 山口県
【一般の部】
最優秀賞
ばあちゃんは口紅をさし化粧して僕を待ってた棺の中で
藤林 正則 北海道
優秀賞
眠る子を撫でた手で剥くハッサクの長閑なまろみに心弛びて
河野 未瑛 神奈川県
「今日夢で逢えた」と母は亡き父と楽しんでいる遠距離恋愛
西村 愛美 愛知県
母からの愛のぶんだけやわらかいカレーライスの中のにんじん
工藤 凜平 栃木県
燃えません燃えますリサイクルもありゴミと愛との類似と相違
遠藤 玲奈 東京都
秀 作
先生も園児の歩幅ゆるゆると川辺を進むたんぽぽの径(みち)
河野 正 宮崎県
父母もあなたとの愛止めるけど燃える心に私は賭ける
大黒 裕明 青森県
田舎より煮物漬物持ち来たる母の訛やおめ食べでるが
高橋 悦朗 岩手県
なれそめは夕立さなかの雨やどり寄りそいながら四十余年経ぬ
井田 寿一 滋賀県
夜がまだひとつの小部屋だったころ星座のふりをしたわたしたち
北原 陸 大阪府
【高校生の部】
最優秀賞
東京で作れるように母さんが教えてくれる茄子の漬け方
小田 麻祐子 茨城県 水戸第一高等学校
優秀賞
「父の子に産まれた事が自慢です」そう言う姉が私の憧れ
蕪﨑 瞳果 佐賀県 太良高等学校
家を出た姉の香りが残る部屋消えないうちに帰っておいで
平野 愛美香 佐賀県 鳥栖商業高等学校
君のシャツ吊革よりも先に掴む電車のカーブ愛も傾く
横溝 麻志穂 宮城県 聖ウルスラ学院英智高等学校
二次元に恋しちゃダメな理由はない愛の形はみんな自由だ
久冨 乃亜 佐賀県 鳥栖商業高等学校
秀 作
風が通り抜けた指の隙間をあなたが埋めて、春
梅村 たお
ありがとうもう亡き母の声きこえ手紙の文字をなぞる指先
樋口 果音 佐賀県 佐賀女子高等学校
人のため何かするのは愛だけど放っておくのはそれもまた愛
柿本 颯太 佐賀県 東明館高等学校
ただいまの声にたなびく線香の向こうに見えた祖母の微笑み
渡邉 美愛 愛知県 旭丘高等学校
綺麗だね君は花火に言うけれど僕の言葉は浴衣の君へ
山口 涼羽 佐賀県 鳥栖商業高等学校
【中学生の部】
最優秀賞
愛なんて十四の僕には分からない四十の僕にも分からないかも
渡部 優 佐賀県 佐賀大学教育学部附属中学校
優秀賞
死んじゃったそれでも誰かに愛されるそういう人になれればいいな
（匿 名） 佐賀県 佐賀大学教育学部附属中学校
筆先に思いを込めて揮毫する錦上添花更なる高みへ
松尾 羽実 佐賀県 武雄青陵中学校
席一ついつもの電車でゆずるだけちらりと見えるあなたの優しさ
梶原 紫音 佐賀県 武雄青陵中学校
秀 作
弦はじき音がただよい踊り出すこの空間が僕の領域
森 千夏 佐賀県 白石中学校
ゆうだちのにおいがしてきた下駄箱で傘をかくしてたたずむ友達
伴 野々花 佐賀県 武雄青陵中学校
「似なくてもいいとこばっかり似るのよね」あははと笑う家族の絆
神田 壮湛 佐賀県 武雄青陵中学校
太陽でゆっくり溶けるかき氷私の気持ちもとかしてしまえ
堤 優季 佐賀県 上峰中学校
丸い球弾むよ弾むどこまでもとどく距離は人それぞれ
木村 斗哉 佐賀県 有明中学校
母一人十三年間育ててくれた今度は俺が助ける番だ
中西 海斗 佐賀県 鍋島中学校
【小学生の部】
最優秀賞
菜の花の花びら散らさないようにチョウはみつ吸いそっと飛び立つ
横道 玄 山口県 光井小学校
優秀賞
祖母の手はおもちみたいにやわらかい手と手を重ねこころまんまる
中原 紗希 佐賀県 思斉小学校
打上げ花火毎年見るたび思い出す大口開けたひいばあの笑顔
藤木 洵 佐賀県 有明南小学校
言葉にはトゲトゲチクチク気持ちありフワフワ増えたら温ったかいよね
井﨑 凌雅 佐賀県 有明東小学校
そこの君花をふんでもいいのかな君の命もふまれてしまうよ
新郷 日那 佐賀県 白石小学校
秀 作
かぶとむしねころがってしんでいたかぞくみんなでさがしてるかも
釜﨑 結翔 佐賀県 有明西小学校
向日葵がみんなの笑顔さかせてるみんなの心をうごかしている
石本 菜帆 佐賀県 有明西小学校
ともだちをやさしくてらすひまわりのようになろうねははのくちぐせ
中西 誠規 佐賀県 古枝小学校
愛情を表現するのはむずかしいけど考えればいろいろあるよ
古田 篤崇 佐賀県 白石小学校
来ぬ人を毎晩夢見るおぼろ月温かい手を今でも想う
江口 璃子 佐賀県 橘小学校
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